愛しき者達
異伝
願い叶える者
《第三話》
「そ、そんなこと言ったって・・・お父さんには許可貰ったんだから良いでしょう?」
「ほう・・・・ヒカリ、貴方お父さんの許可貰えば姉である私の意見はどうでも良いって事?」
「そうだよ!!妹の私の意見もどうでもいいってことなの!?」
ヒカリはどうにかやって姉妹を説得しようとそう言うが、帰ってきたのは姉の冷たい眼差しと妹の怒っているので合おう赤い顔
「うっ・・・・・・じ、じゃあどうすればお姉ちゃん達は許可出してくれるの?」
「「私たちも一緒に旅に連れて行かせて!!」」
「え!だ、駄目よそんなの・・・」
(お、お姉ちゃん達までついてきたら碇君と『仲良く』なるのに時間が掛かるじゃない!!)
「駄目だよね?碇君」
ヒカリは己の心を隠したまま未だに成り行きを見守ってるシンジに声を掛けた
「うん・・・・そうだね、ボクは構わないけど・・・そうなるとお父さん一人になちゃうよね、いきなり家族3人が旅に出て一人になるのって・・・可哀想だよ」
シンジの言葉はコダマとノゾミの心に重く響いた
(碇君・・・・よく言ってくれた)
そしてマサルはマサルでシンジの言葉にうんうんと何度も頷いていた
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
しかし、ノゾミとコダマもその言葉が正しいと解っていながらもその程度で諦められるなら元々提案していない
その為に二人は必死になにか解決法を考え出そうとしていた
すると何かを思いついたのであろう、コダマがノゾミにそっと耳打ちをする
そしてその話を聞きながら段々と明るい表情になっていくノゾミ
そして二人がアイコンタクトで何かを確認し合った後
「お父さん・・・・やっぱりお父さん一人じゃ寂しいよね」
「ごめん、私たちお父さんを一人にするような事はしないから!!」
そう言って二人は父親に謝る
「いや・・・・解ってくれれば良いんだ」
マサルもその二人の言葉に嬉しそうにする
「それじゃあお父さん・・・私とノゾミはちょっと用事が出てきたから席をはずすわね?」
「碇さん、明日の試合頑張って下さいね?私絶対見に行きますから」
そう言うと二人の姉妹はいそいそとその場から退場した
「いい?ノゾミ・・・時間は少ないんだからチャチャとやるわよ?」
「解ってる!これが間に合わなかったらアウトだもんね」
なにやら二人で話し合いながら
「さて・・・・これでこの話は終わったか・・・もう結構な時間だね、そろそろ休みなさい、碇君も寝床に案内するよ」
そして二人が出て行ったことにより話は纏まった
結構話し込んでいたようで結構な時間となっていた
「いえ、ボクは寝る前に訓練をしておこうと思いますから・・・ちょっと外に出てきます」
しかし、シンジは明日の決戦と念のためにということでそう言った
「なら私も待っていよう、ヒカリお前は先に寝なさい」
「え・・・でも」
「お前は明日旅立つことになるんだろう?それだったら今日はゆっくり休みなさい」
「はい」
ヒカリは父親になにかを言おうとしたが、父親の言葉に納得して自分の部屋へと行った
「さて・・・碇君、娘の建前あんなことを言ったが・・・私は今から君の力を知りたい・・・
いいかね?」
ヒカリが自分の部屋に入っていった音を確認するとマサルはシンジに真剣な表情を見せてそう言った
「・・・・・・・・はい」
シンジもその表情を見て真剣な顔になると了承をした
「すまないね・・・幾ら鈴原君がと明日闘うと言ってもね、鈴原君にもまだまだ甘いところがあるし、やはり私自身で君の強さを知りたいからね」
そう言うと自分の武器を取りに行ったのだろう、どこかへと向かっていった
シンジはシンジで外へと先に出て、その手にヴォルパルソードを持つ
そしてシンジはその身に冷たい夜の風を受けながらマサルが来るのを待っていた
「すまないね・・・待たせたようで」
そして数分と経たない内にマサルが自分の武器である槍を持って現れた
「一応娘達には私自身が槍を指導してね・・・・」
そう言いながらマサルは人気のないところへとシンジを案内する
「皆・・・才能があったんだろうねぇ親バカかもしれないが本当にそう思うよ
だが・・・・まだまだ甘いんだ、実戦というモノを知っていても理解してない」
そして場所についたのだろう、マサルが立ち止まりゆっくりとシンジの方を向く
「君は・・・そんな娘の一人を・・・ヒカリを守れるだけの力があるかな?」
そう言ってスッと槍を構えるマサル、その槍はヒカリのコルセルカ・改に型は似ていながらも金属が違い、ヒカリのよりも威圧感を感じた
「それだけのチカラがボクにあるかは解りませんが・・・ヒカリさんを守ってはみせます」
そう言いながらもシンジも手に持っていたヴォルパルソードをスッと構えた
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
そしてそんな二人を見ている二人の女の子が居た
それはコダマとノゾミの二人、何故かその二人の手には斬ったのであろう少し大きめの丸太をそれぞれが持っていた
「なんか・・・ちょうど良いタイミングみたいね」
「そうだね・・・碇さんの強さもコレで解りそうだしね」
「ええ・・・でもお父さんはまだまだ私たちでは勝てないのよ?大丈夫かしらシンジ君」
「・・・・その時は私たちが飛び出していって助ければいいよ」
「そうね・・・」
二人の姉妹は視線を二人から放さずに会話していた
「・・・・・・っ」
まず動いたのはマサルの方であった、マサルは凄まじい突きをシンジへと向かって放つ
それを見切って相手への距離を詰めようとするシンジ
「はぁ!!」
しかしマサルもそれを瞬時に察すると延ばしきった槍を回すようにしてシンジの背後より攻撃をしようとする
「くっ・・・・」
シンジがとっさにそれをヴォルパルソードの一つで受け止めるとマサルの蹴りが飛んできた
それを避ける為に離れるシンジ
(・・・・確かに強い、明日のことを考えて軽くすまそうなんて思ってたら勝てないか・・・)
そして次の瞬間シンジの目つきが変わった
今まで何処か甘かった表情が引き締まったのである
「飛翼!!」
そして剣を振って二枚の鎌鼬がマサルに向かう
その後をシンジがマサルに迫るように走り出した
「飛翼!!」
するとマサルの方も一枚の大きな鎌鼬を産み出してシンジの産み出した鎌鼬をかき消す
この飛翼という技は武器の振りにより鎌鼬を産み出す技である、その振りの規模に応じて大きさも決まるので槍のマサルの方が大きい鎌鼬ができたのだ
そしてすかさずマサルは霊術を唱え始める
「熱と光を産み出す炎よ・・・我が前に集いて爆ぜよ フレイムバーン」
シンジとマサルとの間でいきなり小規模な爆発が5連続で起こる
マサルはこの隙にシンジへの攻撃を仕掛けようと先ほどまでシンジが立っていた場所へ槍を突き出す
しかし・・・・
「はぁぁぁ!!」
上より気合いの入った声が聞こえ、マサルは反射的に槍を両手で持ち何かを受け止めるように上に掲げた
ガチン!!
するとシンジの剣戟が振ってきた
シンジは攻撃が不発だったのを知るとすぐさま距離を取る
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
そして再び沈黙が二人の間を流れ始めた
「・・・・すごい」
「たしかに・・・ヒカリが大丈夫だって言うわけだわ」
そして姉妹はその戦いの様子を見守っていた
一見するとシンジが押されているように見える勝負であるが、シンジはいまだ一撃も食らっていない・・・それはマサルも同じなのだが、少なくともシンジが弱くないことだけは実証されている
「・・・・ノゾミ、やっぱりこの作戦成功させるわよ!!」
「うん!!解ってる!!」
そう言うと二人は自分が抱えている丸太を強く抱きしめるのであった
「・・・・明日のことも在りますし・・・そろそろ終わりにします」
「・・・・できるのかね?」
シンジの言葉を挑発と受け取ったのであろうマサルが表情を変えずに聞いてきた
その言葉には答えずにシンジはもっと距離を取る、そのことによりマサルは霊術を使う気で在ることを悟った
「面白い・・・・」
そしてマサルはあえてシンジに向かわずシンジの霊術を見ることとした・・・どれほどの威力なのかを
「我招くは原始たるモノ・・・生命を支え流るる癒し手、汝姿を取りて我が呼び声に応えん・・・アクアックバード!!」
そしてそのシンジの呼び声により現れたのは水で出来た大きな鳥、その翼は片翼が5メートルもあり、鳴き声が聞こえぬモノのそのくちばしは雄叫びを上げていた
「な・・・・・水の召還霊術!?・・・最低でも上級呪文だぞ!?」
マサルは予想外の事に驚きの声を漏らす
しかし、その鳥が自分めがけて飛んでくるのを見るとすぐさま意識を戻しその鳥に全神経を集中させる
召還霊術は術自体が意志を持つ為にこちらを攻撃する方法が1パターンではないのだ
すると鳥は天高く昇ると、凄まじい速度で落下してきたのである
「なっ!?」
その速度までは予想し切れていなかったマサルは避けることが間に合わないことを悟るとすぐさまに眼を瞑り衝撃に備えた・・・それで助かるという可能性が低いことを解っていながらも
バジャァァァン!!
そしてその音になおいっそう歯を食いしばったが・・・自分に来たのは少量の水のみ・・・それでそっと目を開けてみると、自分の3メートルほど手前の地面がえぐれその中に大量の水が溜まっていた
「・・・・・・・・・・・・・・」
「これでボクのチカラは解って貰えたでしょう?」
訳が分からないマサルにシンジがそう言いながら近づいてきた
「・・・たしかにな」
ようやくシンジが霊術を当てなかったことを悟ったマサルは苦笑しながらそう答えた
「ヒカリが安心して鈴原君と闘わせるはずだ・・・」
そしてシンジに聞こえぬようにぼそりとそう言うと
「さて・・・シンジ君、今度こそ寝ようか?訓練のこれだけやればいいだろう?」
「はい」
家へと戻っていった
「・・・・碇さんって・・・霊術得意だったんだ・・・」
「エレメントは水・・・ね、相手の三人と其処まで相性は悪くないか・・・もっとも渚のはヤツはアレだからあんまり意味無いかもね・・・」
素直に賞賛の声を上げるノゾミに対してコダマは冷静なる戦士の目でそう呟いた
「え!?それじゃあお姉ちゃん・・・碇さん負けるかもしれないの?」
「うん・・・お父さんはアレで納得してたみたいだけど・・・お父さんは三人のエレメントを知らないし・・・渚は強さ的には少しランクが違うからね」
「・・・・それじゃあ」
「まぁ・・・その時はその時でヒカリも黙ってないでしょうし・・・ヒカリが安心してた理由も他にあるかも知れないしね」
「そう・・・だよね」
その姉の言葉に驚きながらも続いて出た言葉に多少納得するノゾミ
そしてそう言ったながらもやはり安堵の表情は見せない二人
「まぁ・・・シンジ君を信じて私たちは明日の為に頑張ればいいのよ」
「そうだね、それしかないもんね」
しかし、姉の言葉にノゾミが頷くと二人とも立ち上がり丸太を抱えて自分の家へと戻っていった
そして、二人が抱えていた丸太・・・これがマサルとシンジに思わぬ事をもたらすことに成るのだが、それを知っているのは当事者の二人だけであった
余談であるがこの夜、二人は睡眠時間を2時間ほどしか取れず少し疲れた顔をしながらもシンジの決闘を見に行った
さらに余談だがヒカリが夜中にうるさくて目覚めると姉と妹の部屋から何かを叩く音や削る音など、意味不明な音が聞こえてきた
その原因を確かめようか確かめまいか悩んだヒカリであったが・・・結局明日のこともあると確かめずに布団にくるまり眠りこんだ
第三話 完
後書き
・・・えっと、何故か決闘まで進みませんでした
すみません、単純に書きたいことが増えてまったんでそれ書いてたら何故か一話分になってしまったんです
だので前話に書いたカヲルの理由も教えれません・・・本当に申し訳ありません
闇乃棄 黒夜
<HIDEの語り>
現実味を帯びて来た『コダマさんとノゾミさんもなし崩し的について来る』説。
涼しい顔して朝から晩までとっかえひっかえヤりっぱですか?
クソ、非モテの敵め。カヲルにやられちまえ。
カヲルにやられて主役交代したら私の負けってことで。
私の勝ちが見えてるとかは禁句だ☆
☆とかマジきもいって事実も禁句。
ところで、この話の展開が、
百円くらいの30分で終わるエロゲ風味だと思うのは私だけか?<キサマだけだ
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闇乃棄 黒夜氏にメール