潜む流動。眩む渇望。怯むイコール。

 

 

 

 

 

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written by HIDEI

 

 

 

 

 

 真っ暗だ。
 目覚めの瞬間とは思えない暗黒。
 視界は閉ざされ、四肢はぴくりともせず、耳も鼻も塞がれ、口も固定され、舌先すら動かせない。
 触覚以外の全てをカットされた状態だ。
 そして、気づく。左腕の――義手が接続されている感覚もない。
 不味い事態だ。心中で毒づきつつ、もごもごと固定された舌を動かし、《word》を解放した。
 空気中の水分を集束/拡散させて周囲を探る。
 まず確かめるべきは人の有無。《user》がいて《word》の使用を勘付かれると厄介だ。目覚めを知られないほうが動きやすい。
 探知できる範囲には人体と思しき熱源はなし。殆どを埋めるのは機械。おそらく計器の類か。前方5メートルにドア。ドアの横にガラス。おそらく拳では砕けない程度には厚いアクリル。右方3メートルには同じくガラスらしきもの。太陽光を感じる。窓らしい。こちらはそれほど厚くはない。
 現状把握の後、プランを固める。
 基本方針に変更はない。自己の保身を最優先にしつつ、脱出を試み、出来るならば情報をネルフへと持ち帰る。故に、拘束を解くことが重要だ。最大戦力である左腕――XXX型義手弐号基TYPE-Lはおしいが、最悪取り戻せなくとも問題はない。生きて帰り、ルネサンスの本拠が空に存在することを伝えることこそ最重要。
 手始めに水分を束ねるだけ束ねる。義手の力を借りずアスカ単体の能力で空気中の酸素・水素から水分子を生成し、指向性を与えつつそれをそれなりの威力にまで出力を高めてやるのは骨が折れた。その上、精密制御が絶対条件というおまけつきだ。1歩間違えると拘束衣ごと自身を傷つけてしまいかねない。存在するのは水分の集束/拡散で得た近似的マッピングと、勘だけだ。特に、見えない中で何かを切断するというのは非常におそろしい行為である。しかも、監視カメラの類がある可能性も考えて迅速な行動が求められる。ここから先の行動は全てそうだ。
 慎重に慎重を重ねて拘束衣を切開する。布とも金属とも違う感触を突き抜けると視界が開けた。
 眩しい。照明の光が刺さるようだ。
 回復した視界。そして、飛び込む光景と蘇る記憶。
「プラグ……スーツ?」
 周囲を見渡す。着せられた拘束衣プラグスーツ、そこから伸びる無数のケーブル、強烈なLCLの残り香。
 一発で理解した。慣れ親しみ、最早刷り込みに近い程に浸透した自己を形成する環境。自我の溶け出す融解空間。
 この部屋は、およそ6メートル四方のこの部屋は、そのまま丸ごと――
「エントリープラグだっていうの……」
 残り香。つまり、既にLCLは部屋を満たし、そして排出された後に違いない。何とシンクロしたのか、そんなことは明白だ。目蓋の裏にカサブタのように張り付いて離れない、カプセルを覆うように鎮座する弐号機。
 吐き気がする。
「最悪」
 自身の体を知らぬ内に何かに利用されたという事実。気持ちが悪い。
 しかし、気持ちは別として『可能ならば行うべきこと』にシンクロデータを破壊するということが加わった。これは任務だ。生きて帰るという任務にオプションがどんどんと追加されているだけに過ぎない。
 プラグスーツから芋虫のように出て、右方へと這い進む。
 まずは右側の窓を破壊する。《word》で耐圧特性が付加されているためか高高度にも関わらず薄いガラスだ。試しに感覚のない両足をぶつけると、呆気なく砕けてしまう。気圧差で窓の破片が一気に外へとばら撒かれるが、その他のものは不可視の壁によって外へは引き込まれない。
 このことは確信が、窓が割れても気圧差で投げ出されないという確信があった。壁や窓の穴等で気圧差が生じた場合、一気に高度を下げるという乱暴な対策もあるにはあるが、ここまでガチガチに《word》を含有した巨大建造物がそんな手を取る筈がない。
「高度7000メートルってとこね」
 眼下の雲の位置と鱗型のその形を見て断じる。
 この程度の高さからの墜落事故で生き残った例もある。《word》を使えば生き残れる自信がアスカにはあった。
「ま、それは最後の手段か」
 ともかく移動手段が、具体的にはあの車いすが欲しい。
 部屋を這い出ると、まさしくそれがあった。
「おあつらえむきに……ちょっと出来すぎね。逆に言うと、ツイてる」
 何とかいすの上に這い登ると《水》で車輪を駆動させる。同時に水分を拡散させ湿度レーダを展開。加えて、腕の存在しない左肩に水分を凝集させ、砲台を形成する。偵察に過ぎなかった前回の徘徊とは違う。今は、戦闘、だ。流石に義手なしでは強力なウォータカッターは望めない。故に、水鉄砲の超強力版が精々だ。
「ま、ないよりはマシだ」
 呟き、奥へと進む。

 アスカが角に消えた所で、気配を消していたモードがゆらりと現れる。アスカ程度に対する気配遮断などお手のものだが、湿度レーダに反応しないよう、体表面の水分を調節するのは骨だ。
車いすこれで、カリは返したぜ、嬢ちゃん」
 絶対的強者である自身が行った弱者的行為に対する、これが彼のおとしまえであった。
「髪は女の命だかんな」
 ついでに、髪を切ってしまった分も、だ。
「――ドクタ・イブキにどやされますよ」
 天井からの朗々とした声。
「ケヴィンか」
 上を見ずに応える。その声には咎めも厭味もない。
「リーダーがお呼びです。ネルフ戦に向けた打ち合わせですって」
「……アルゴルのバカに言っておけ、俺を話し合いに加えてどうする、ってな」
 くすりと苦笑が聴こえる。
「彼は貴方に会う口実が欲しいだけなんです。長兄とは思えない甘えん坊さんですから」
「アタマが痛くなるようなことをゆーな。ともかく、俺は勝手にやるし、それが俺の役割だ。分かったら散れ、ケヴィン。あと、お前もだ、カティ」
 右壁の奥に潜んでいた気配がびくりと驚く。
「ったく、困ったガキどもだ。嬢ちゃんの監視はもういいから、アルゴルのとこへ行け」
 一瞬迷ったが、気配はさらりと消えた。
 アスカの消えた角を見つめる。
「ま、死ぬんじゃねーぞ」

 

 

+++++++++++

 

 

 再びの闇と無数のドア。
貴様おれよ、残念ながらそのドアは――不正解だ。だが、無駄にはならなかったようだな。別にここでやめても構わないが」
 確かに収穫はあった。《word》への理解が更なる力を呼び、戦闘の幅を広げた。
 しかし、その選択はノーだ。
「まさか。分かっている筈です――退路は既に断っている」
 後退のネジを外している。
 何をもって正解とするのか、それは分からない。ただ只管に扉をくぐるだけだ。
 今しがたくぐった扉の隣のそれの前に立つ。白いドアの白いノブをくるりと回す。がちりと再びの連結音。
「意識がぼくに塗り潰されるまで、それほど間はない。現実に戻れる内に片付けることだな」
 『自分』の声を背後にドアの世界とは別の自己内面世界へと没入した。

 目を焼くような灼熱の白光。
 ぼやける視界。土と木の、森の臭い。そよぐ風。
 そして、縦に割れた山。まるで道遊の割戸の如く、頂上から楔でも打ち込まれたように縦にパックリと割れた山だ。
 覚えがある。知っている。山も、眼前に迫る人影も。
 1つ目の扉は第三新東京=初号機。
 今、この瞬間の、2つ目の扉は北の名も無き山。
 怜悧と獰猛が同居した緑色の瞳。異形じみた内部筋肉を持つ細身の体躯。梟の頭脳と獅子の牙。

 その姿――サガ=トップ。

 ネルフを出奔したシンジに刀と戦いを教えた、言わば師。地這いの使徒カタコンベ盟主補佐アーガス=アーリマンとの戦闘で力尽きた、《Odin》の《user》。元カタコンベ盟主補佐。
 サガの背が揺らぐ。その背が負うのは槍の穂先のごとき暴力。
 ――発射。
 殺気が幾千幾万の槍刃となってシンジを突き刺した。
 存在そのもが、凶器。その貫くべき芯は、黄金と白金とあらゆる貴金を堆積させ圧縮した末の、金剛よりも尚強固、原色よりも尚鮮烈、原初にして始原たる流れを汲む、それそのものが神話の如き――1振りのやり
 その場で縫い付けられたように、シンジは動きを止めた。殺気に縫いとめられたわけではない。いや、無論、殺気自体が物理的衝撃すら伴いかねないこの威圧は十分に恐ろしい。それ以上に、シンジは心の均整を失っていた。
 この期に及んで、覚悟が定まっていないのだ。
「情けない……」
 歯噛みする。
 やるべきだ。全力でぶつかるべきだ。1度だって本気で相手をして貰えたことなどなかった。
 そうだ。
 これは、永遠に失われてしまった筈の、師を、サガを越えるための機会。
 喜ぶべき一戦。
 ならば、笑うべきだ。
 笑みとともに《word》を呟く。同時に銀色の《color》が世界に発散する。
 師を切り伏せ、また1つ決着を――。
「つける!」
 おそれずに、踏み込め。

 

 

 

 

Episode 28 : absorber/scrubber

 

 

 

 

 《七大スラム》の1つ、《スラム=ウエスト》。インド洋を臨む沿岸都市ムンバイから旧・首都ニューデリーへと帯状に広がる仏教特区――それがインド国内におけるウエストの位置づけだ。最も、そんなものは建前で、独自の経済と頻発する小規模使徒発生を封じ込めるための方便に過ぎない。
 新・首都ハイデラバードのゴルコンダ要塞・改に居住まう長老たちは、ただひたすらにウエストを忌避し、特区として形だけの独立を与えるのみだ。彼らにとっては特区ごと消え去ってもらうのが丁度よい。核の照準はいつでもウエストに合わせてある。
 だから、というわけではないだろうがウエストへ入るのは容易い。
 今は無き《スラム=トスカニャーフ》のように《word》的防護があるわけでもなく、他のスラムのように入国審査のようなものも存在しない。そもそも他のスラムと違って、ウエストである領域とそれ以外の領域の境界が曖昧なのだ。
 その上、加持にとっては《Curse》の《user》を切り伏せたシンジを迎えに1度来た土地である。
 行動を開始してからものの半日でレイと加持は目的地であるウエストの中心部まで辿り着いた。
 即ち、インドを南北に分けるヴィンディヤ山脈の中心部、神秘が支配する聖地――パチマリ。

 木をかき分け、程ほどに広いポジションを確保する。
 時刻は既に夜へと突入している。一帯を支配する宗教結社が加持達と目的を同じにしていないとは限らない。つまり、宿をとることは危険だ。キャンプをはって明日を待って目的とするポイントへと出発しなくてはならない。
 虎や豹が徘徊するこの森だが、それよりも注意すべきは小規模使徒だ。特にパチマリのジャングル内においては第11使徒型イロウル・タイプ第15使徒型アラエル・タイプの出現率が最も高い。ともに有機浸食オーガニック・クラック、精神攻撃という搦め手をメインウェポンとするやりにくい相手だ。
 獣ならば火があれば寄ってはこないが、使徒はそうはいかない。
 加持は超視界で、レイはサーモレーダで、それぞれ数時間交代で見張りをしつつ夜を明かす。
「幾つか確認しておこう」
 《Eye》で拡大された視界と視力を維持しつつ、後方のレイに言葉を放る。
 使い捨ての簡易テントの中で膝を抱えて座るレイの顔がこくりと小さく上下した。
「まず、目的は1つ。ポイント12-30-S、チョーラガル山頂。コード――須弥しゅみ。そこに奉納されている魔棍まこん命脈めいみゃくの奪取」
 言いつつ胸元から取り出したデバイスのスイッチを入れた。小さい穴から光が漏れ出、それが宙で象を結ぶ。
 映される立体像は白と青の2つの棒が螺旋状に絡まり合う長棍。その青と白はまるで生命の陰に隠れた高揚と鬱勃を象徴するかのような輝き。螺旋が描くそれはまさにDNA。
「須弥はボンが統括している。まぁ、盗むってことだな、そこから。《user》もそれなりに数は揃えてるようだし、注意はした方がいいだろう」
 宗教結社=ボン。
 梵天の名を冠す、ウエスト北域、ひいては北インド全域の数多の宗教組織による統合団体。
 《3rd Impact》以後、少数勢力となったヒンドゥー教をはじめ覇権を握らんとする宗教組織がひしめく。
「そして、ボンとの対抗姿勢を崩さないタイシャクも当然命脈を狙っている。かち合った場合はこちらもそれなりに厄介だ」
 寺社連合=タイシャク。
 帝釈天の名を冠す、ウエスト南域、ひいては南インド全域の仏教組織による連合団体だ。強大な信者数をバックに絶大な権勢を誇る。
「より注意すべきはタイシャクだな。厭らしい――シンジ君にかけられた《Curse》のような《word》の《user》が多い」
 かつてシンジの能力を結果的に大きく抑えていた、人体に有害な粒子を不可思議な波に乗せて放つ『呪う』《word》、《Curse》。その恐ろしさはレイも聞き及んでいた。
 それらの《word》の恐ろしさはその高いステルス性にある。いつ、誰に、どこで、どんな攻撃を受けているかを掴めないのは致命的だ。

 見張りを交代したレイは、仮眠をとる加持を尻目に赤の《color》と同時に熱波を拡散。放った熱波の温度変化を感知し、レーダとする。
 灯っては消える火を眺めつつ、手にしたライターをカチカチといじる。揺れる炎で渦を作り、あるいは蛇を造型した。
 かつてカヲルに言われたことを思い出す。《word》はイマジネーションこそが決定的な要因だ、と。使い方を研ぎ澄ますことがより高みに昇る近道だ、と。
 故に想像し創造する。
 《炎》の本質は焼き尽くすことにこそある。およそこの世において燃えない、あるいは溶けない、蒸発しない――焼き尽くせないものは存在しない。つまり、温度を高めれば高めるほどレイに敵はいなくなっていく。いかな攻撃も防御も全て燃やし飛ばせばいい。
 1000℃程度ならば実際に触れたことのある温度だ、想像は容易い。しかし、超々高温を想像するのは困難だ。想像できないからタガを外して出力を無限に上げ続けても、確かに温度は上昇するがホンモノとはほど遠い。
 実際に計測した、レイが現在放てる最高の温度は炎で3000℃程度、熱で2000℃程度だ。熱が低いのは明確な形を伴わずイメージしづらいためである。
 この温度でも十分な戦力となる。容易く熱傷は引き起こせるし、一瞬で水を蒸発させて爆散させることが出来る。だが、足りない。熱傷程度では足りない存在がいることを、レイは理解していた。桁がもう1つ2つ違えば、生物を瞬間的に完全に炭にすることが可能だ。その域に達すことで、ようやくレイは絶対の攻撃と絶対の防御を得る。

 ぴくり、とレイの細い眉が微動する。
 脳内でマッピングしていたサーモデータの分布が変動した。《limit》内外の境界線上でじわりと滲むように一定領域の熱量が増大していく。《limit》内への侵入者、だ。大きさはおよそ3メートルほど。
「侵入者」
 加持を揺すり起こす。レイのサーモレーダは存在の感知は出来ても、MAGIのサポートなしにはそれが何であるかを知る術はない。その点、加持の《Eye》ならばハッキリと見てとることが可能だ。
 金色の《color》とともに《word》を駆動し、視界に侵入者を収める。
「アラエルが2体だな。さて、どうする?」
「私が……」
 廻転流動する炎剣――炎撃兵装ガルガリンをブラウスの胸ポケットから取り出し掴む。
 言葉通り見張りを加持に任せ、2体のアラエルタイプへと接近する。
 アラエルタイプと戦う際の教訓はたった1つ――すぐにれ、だ。精神攻撃を防ぐ手立てや《word》はあるが、現状のレイには無論そんなものはない。防げない攻撃手段を持つ相手は、それを受ける前に終わらせるのが鉄則。
 故に、すぐさまシューズのブースタに点火し、爆発的な加速力を持ってアラエルに肉迫する。ガルガリンに火を灯し、最大出力で剣を形成し、コアへ向けて薙ぐ。ATフィールドを持たない眼前の小規模使徒程度ならばこの一振りで終わる。
「っふ――!」
 蒼炎で形成される細剣がバターのようにアラエルの体を切り開き、殆ど2体同時にコアを裂き砕いた。
 十字の炎が立ち上がり、勝負は決す。

 ず、と。

 赤と青が混濁した毒々しい掌にレイの肩が包まれた。
 意識の外だった――パチマリのジャングルではアラエルとイロウル・・・・の出現率が高いということは。有機体に同化し浸食するイロウルは、単にアラエルに張りついていたに過ぎない。
 肩口から一気に浸食が進み。既に左半身は侵された。
 脳は有機コンピュータであり、筋肉はアクチュエータであり、感覚器官はセンサであり、内蔵はパワーソースでしかない。客観視された人体は、高度な有機コンピュータにより制御されるロボットである。
 そして、イロウルの持つ一点特化された能力こそ有機浸食=オーガニック・クラック。つまり、第7世代有機コンピュータであるMAGIを浸食したのと同様に、人体を侵し尽くすことが可能だ。
 こいつらは、イロウルは、ナノマシン状の群生型使徒だ。コアは勿論存在しているが、『コア』としての役目を持つ個体細胞が分散している。有事にはそれらが集合しコアを為す。故にアラエルのコアを裂き砕いたようにイロウルのそれを狙い打つのは難しい。
 だが、
「……発破」
 燃やし尽くす。
 左半身から噴水のように真っ青な炎が突き抜けた。
 イロウルの細胞と癒着して形成された皮膚も一緒に焼き尽くす。生体内部には発生させられないという《limit》はあっても、外部で発生させた炎を内部に侵入させることは簡単だ。イロウルの侵入経路をなぞるように過度な熱傷を起こさないように精緻なコントロールをもって、炙るように全てを焼き尽くす。
 これこそ、イマジネーション訓練による発達といえよう。

 文字通りの侵入者を片付け、テントへと戻り加持と見張りを交替し、座り込む。リツコから預かっている軟膏を焼けた皮膚に塗りこむ。殆どが赤みと軽い水疱――レベル1程度のささいな火傷で放っておいても数日で治るだろうが、この薬を塗っておけばそれが明日になる。不安要素は少しでも排除しておきたい。
 イロウルを見逃していた自戒と、次に同様のケースに出会った場合のシミュレーションをしつつ眠りに就く。
 明日はきっと、今日の比ではない闘いが待っているだろう。

 こんなものは、肩慣らしの前哨戦、だ――。

 

 

+++++++++++

 

 

「それでは、説明を、信濃技官」
「はい。では、まずこちらを」
 ゲンドウとユイが奥に控え、その眼前の高官がぐるりと囲む円卓中央に立体像が出現する。
 立ち並ぶアデニン、グアニン、シトシン、チミンの連鎖。即ち、DNAだ。
「《スラム=ルッビス》内およびネルフ内で採取したギズィ=ロン以下8名のロンの遺伝情報です」
 画面が切り替わり単語を表す無数の『・』が集っては拡散し、収斂していく。
 記される言葉は――コピー。M。D。クローン。ロン。C。マヤ。キース。ケヴィン。
「さらに、このフィフスチルドレンが持ち帰ったルネサンス武官・リャノン=ロンの記憶情報を統合した結果、」
「クローンか……」
 信濃が言い終える前にミサトが口を挟んだ。
「でも、名前が同じとはいえ、そもそも外見が全然違うわよね。そこら辺は?」
「ヒトとチンパンジーのDNA上の違いはたかだか2%です。それを考えればヒト同士の外見の相違はDNA上は些細なものでしかない。実際、彼らロンのDNAは全く同様に組成された後に、調律段階で若干のノイズを挿入している跡が見られます」
 分析すると、DNAの現在構造から調律→組成とさかのぼる過程で、明らかな不純物が介在する。それこそが『ロン』に生まれた『個性』の正体だ。
「そして、ロンのオリジナルは間違いなくモード=ロン」
 画面が切り替わり、想像を絶す事も許さぬ超常中の超常にして人の最終形――モードの経歴が羅列される。
「元ゼーレ特務執行部隊・第4特務執行員。稼動3457回。負傷1回。任務失敗0回。規格外の化け物です」
「特務執行部隊というと暗殺・諜報・潜入工作といえば聴こえはよいが、狂いも狂ったりの戦闘集団だったな。1/3457か、それは大変だな」
 古株の武官・大和がため息をついた。
「次にこちらを」
 続いて映し出されるのは黒色と肌色の中間色で構成される、腕だ。その横には、まるで管のごとき鈍色の骨が腕全体を取り巻き、筋が硬く絡み合うようにたわむ――異様な、またしても腕だ。
「その1度の負傷で失った腕の代わりに現在モード=ロンの左腕となる、XXX型義手弐号基TYPE-Bの通常時と決戦体時の外観です」
「っていうと、セカンドに移殖した」
「はい。セカンドチルドレンに移殖したTYPE-Lの兄弟基――その2基・  ・中の1基です。赤木博士によると共にゼーレの魔窟ラボによるX型義手から発展・派生したエヴァの人口筋肉及び特殊装甲技術の発展・応用だと。最も新しいTYPE-Lが流体用に発展させた回転・流動デバイスであるのに対し、TYPE-Bは心臓マッサージ用に発展した振動デバイスで《3rd Impact》前には開発・移殖されています」
 その言葉にマコトが眉をひそめた。
「サードチルドレンの証言を統合すると、とても心臓マッサージ用とは思えないのですが」
「……おそらく、伊吹マヤにより改修が加えられたものと推測されます」
 シンジの証言=心臓を粒子1つに至るまで消し飛ばされた+《斬》による刃が跡形も無く消え去った。
 それらからのMAGIによる振動数の算出は、計測不能。人類の現在の計測器では捉えられない、敢えて書類に記さなければならないのならば∞Hz、だ。
 数瞬の間、ネルフを去ったマヤの存在に場が停滞する。
 沈黙を打ち破ったのは比較的若い武官・最上だ。
「成る程。それでフィフスによるデータの内、『コピー』と『クローン』、そして『ロン』と『マヤ』については、まぁいいでしょう。おそらく『キース』と『ケヴィン』は人名として、それもいいでしょう。それでは、3つのアルファベット『M』、『D』、『C』の意味する所は? MAGIは何と?」
 疑問に対して信濃の横に座る技官・陸奥が答える。
「流石に《word》で散らされた記憶情報の暗号鍵は、MAGIといえども引っ張り出せねー。記憶領域のカオスからいくつか断片的な関数は拾えたが、マシンパワーのみで開けるパスじゃないぜ。そこで、開発中の8、9世代のバイオコンピュータで断片から意味推理させてみたが、あんまり芳しくねーな」
 陸奥の操作により画面が切り替わり、推測される意味とその的中率・誤差が表示される。
「『D』に関してだけ言えば、Dragon、龍、つまり中華的読み方であるところのロンってのはまず間違いないな。しかも情報としては『ロン』と強く結びつきながらも明確に別の情報になっている。人名としての『ロン』とロンを意味する『D』は別モンってこった。『M』と『C』に関してはお手上げだ。『M』はマヤ、ミックス、マックス、マスター、メイク、マザーと無数の可能性がほぼ並列。『C』もクローン、カオス、コピー、チャイルド、クロス、ケーブルと同様に殆ど並列」
「成る程。つまり、ロンの名を冠して何かが、それもそれなりに重要な何かが存在しているということ――だけは分かったと」
 陸奥だけでなく信濃や他の技官も顔をしかめる。
「辛辣だねー。ただ、アルファベットである以上、この『M』『C』『D』が意味する所は並列的に存在してるってのは間違いないと思うね」
 そういえば、と大和が言う。
「シゲルを殺ったっていうホムンクルスってーのはどう見る。その3つに絡んでくるんじゃないのかね」
「どう見るというよりも、どう創ったかということですね、問題は。未だ先の見えない8、9世代バイオコンピュータでもおそらく不可能な領域です。逆にホムンクルスが存在しているということは、ルネサンスは――伊吹マヤは世代換算でいうならば第12世代型相当のバイオコンピュータを持っている、ということです」
「おそろしきは伊吹マヤの頭脳、か」
 文字通り、レベルが違う。
 最早疑う余地はない。
 マヤの頭脳は明確な武器であり、致命的な威力をもっている。
 コンピュータが3世代先を行かれるということは、他のすべても3世代先を行かれている可能性があるということだ。情報も技術もマシンパワーに左右される面は大きい。
 無論、最もおそろしいのはそれ自体を構築したマヤだが。
「とてつもなく凄いのは分かった。技官も武官も完全にあちらが上だというのは認めましょう」
 ミサトの言葉は真実の重さと確固たる響きがあった。
 こんなことを言えるのは彼女しかおらず、また彼女もその役割を自覚していた。自分より指揮能力の高い人間も、作戦立案能力の高い人間も存在する。
 ならば、いつでも最も前を捉え、全てを鼓舞する存在であろうと、彼女は決めていた。
「その上で、何を出来るか考えましょう。ジタバタするしかないのだから、ジタバタしましょう」
 彼女の言葉には力がある。生き抜くための力だ。
「ジタバタ、か。葛城、言うじゃないか」
「成る程。確かに、ジタバタするしかない」
 空気が膨らむ。鼓舞が力を呼び、力が団結を生む。それが、組織というものだ。
 そして、ここぞという場面でこそ、
「では、対策たたかいを――始める」
 精神の怪物ゲンドウが真価を発揮する。
 たった一言で、場を掌握するだけの圧力が彼にはあった。

 炸裂する数多の資料と情報。
 飛び交う悲鳴にも似た議論と怒号。
 まさしく戦場と呼ぶに相応しい。
「ルネサンスの目的は再びの補完。故に、また《creator》を狙ってくるのは間違いない」
 《user》を生み出す《creator》はこの世にたった2つ。
 その1つはネルフが所蔵している。
 先日カタコンベがネルフを襲った隙を縫うように、ルネサンスは確かに《creator》を目的としていた。
「クローンを何体産出したかは不明であるとはいえ、欠片フラグメントでまかなえる数ではないだろう」
「――ルネサンスがもう1つの《creator》を持っていると?」
 マコトの言葉にゲンドウが組んだ掌の奥で静かに頷く。
「《creator》は私の《word》ちからで押さえてはいるが、物理的に移動できないわけではない。つまり、やつらは再び来る。今までの小規模な派兵や、小手先のスパイ行為ではなく――総力をもって」
「……ロンギヌスの槍アンチATフィールド使徒S2ドライブ/コア有資格者チルドレン――それら全てが儀式には必須な筈。司令はルネサンスがそれらを持ちえているとお考えですか。あるいは、全く別の階梯を持ち出すのか」
 ミサトの疑問にユイの眉がぴくりと動く。ゲンドウの表情は変わらない。
「先日の襲撃の後から今日に至る程度の日数では、《creator》を用いぬ階梯を架けることは不可能だ。それこそ、マシンパワーでどうにかなる問題ではない」
「必ず《creator》を奪いに来る、ということですね」
 ゲンドウが掌を組み直す。
「――例えどうであれ、全てここにある」
 使徒も、チルドレンも、たった今ネルフに存在している。
 ならば、やはり、
「必ず来る。そして総力で、ということですね」
「おそらく、そう日はない。何者かが時を早めたがっている」
 今は不味い。ネルフ内にいるとはいえシンジは内面領域へ没入中。頭脳面での柱であるリツコと最大の護り手であるサクノもそれに付き従っている。加えて、数日中に帰還予定ではあるがレイと加持は遠く離れたウエストにいる。
 しかし、それは彼らにとって必要なことだ。
 ここにいる人員で出来ることは彼らが万全の体制でことに臨めるようにすることしかない。
「要はサードチルドレンだ――モード=ロンに対抗出来るものは他にいない。自然、ホムンクルスを抑えるべきはファーストチルドレンとなる。サクノ=ナギサには両チルドレンのサポートを要請。葛城君は両チルドレンへの戦術を含めたバックアップの後、加持君が帰還次第、彼と連携してそれ以外の敵への対処を。信濃君は赤木君に協力を仰ぎつつセキュリティ及び《スラム=ルッビス》内の監視を強化。以上を2日以内に行え」
「司令、いいのですか。サクノ=ナギサやチルドレンを深くに保護しなくとも」
 マコトの問いは最もだ。
 事実、前回はセントラルドグマレベル#10へと半ば幽閉に近い形でサクノを保護した。
「だが、彼ら以外にモード=ロンやホムンクルスは抑えられない」
 それもまた否定しようのない事実だ。
 しかも、それはあくまでも抑えられる可能性がある、という意味でしかない。
「モード=ロンとホムンクルス程に圧倒的な個には、巨大な集あるいは同じく圧倒的な個で対抗する他ない。我々には奴らと対抗し得る巨大な集は存在しない」
「どうやら……また彼らに重荷を背負わせることになりそうですね」
 ミサトの顔が険しくなるのへ、大和の顔が曇る。
「セカンドの件はどうしやすか。捜索に裂ける人員が極端に少なくなりますが」
「セカンドが生きていることは間違いない―― 一旦捜索は打ち切りとする。生き残らなければ彼女が帰る場所もなくなる」
 ならば、どうすべきか――
「全てをこの2日間のために」
 決戦に向けて、時計の針は進められた。

 待ち受ける、総力戦へ、今――。

 

 

+++++++++++

 

 

 部屋の中央には50メートルはあろうかという3本の円柱が途中途中で交差したような形をした巨大な塔と、そこから根を張るようにおびただしい数のケーブルが周囲へ伸びる。まるで樹齢何千年もの木か、あるいは脊椎から神経が張り巡らされているかのようだ。そして、塔を囲むように人間大のフラスコ型カプセルが立ち並ぶ。
 再び到達したカプセルだらけの部屋で、アスカはやはり肌が粟立つのを感じた。
 生理的嫌悪。倫理的嫌悪。個人的嫌悪。全てがない交ぜになり渦巻く、負の感情。
「ぶっ壊すべきよね、やっぱり。個人的にムカつくし」
 左腕の水砲に水分を集中させ、圧をかける。
これをそのまま打ち出して、眼前の塔=ルネサンスのメインコンピュータ――カニュールグに打ち込めばそれで終わる。
「ま、その前に……」
 出来ないとは思うが、情報が引き出せるかを確認する必要がある。
 色々と厄介な技術の情報を持ち帰ることが出来れば御の字だ。自身のエントリーデータに関してはぶっ壊してしまえば問題あるまい。別メディアに移されたデータまでは流石にフォロー出来ない。それに関しては諦めることとする。
 操作パネルを探すが、それらしきものは見当たらない。
「単純なアクセスは出来ないってわけ?」
 考えられないことではない。アクセス用の端末が別の場所にある可能性は織り込み済みだ。しかし、本体に直接アクセス出来ないということは有り得ない。整備が出来ないからである。操作パネルでないなら、これだけの巨大さだ、
「入り口探すか」
 床付近にはそれらしきものはない。もう少し高い位置にあるかと、視線を移動させる。
「あれか」
 床から20メートル程の位置に丁度ヒトが1人通れる程度のドアらしきものを発見した。
 車いすでこの高さは厳しい。
 が、
「……やってやれないこともないか」
 幸い車輪部分は完全に露出している。塔に背中を向けて、後は車輪を回し続けるだけで上へと昇っていける。《水》による水流の繊細な加減と安定した出力が要求される難しい操作ではあるが、気合を入れれば何とかなった。
 アスカは高所恐怖症というわけではないが、流石に10メートルも昇るとあまり気分はよくない。
 ドアにはチャチな鍵がついている。
「既成のパーツを使ったらそのままついてただけって感じね、こりゃ」
 ならば、それほど複雑な鍵では無い筈だ。そもそも壊してもいいが、それでアラームで鳴られるとたまらない。
 簡単なピッキングなら出来るが、ヘアピン1つない状況ではムリというものだ。
「ピンでなくとも何かある程度形が自由になって、ある程度堅ければ何でも……」
 水なら今すぐ生成できてその上形も自由だが、堅さが――
「かた、さ……」
 ああ、という閃きが雷光のように押し寄せた。
 何故今までこんな簡単なことが思いつかなかったのか。しかし、後悔している暇はない。
 実行あるのみ、だ。
「集中、集中」
 細くした水流を鍵穴に差し込み、そこで、水分子の熱振動を極限まで低下させ、分子間の結合を逆に指数関数的に強めていく。土壇場の集中力の成せる技か、元々の才能か、経験による成長か、この時、アスカはかつてない程の精密な水分子の操作を行っていた。それこそ、原子1粒1粒を感覚するような、そんな異常な状態だ。
 熱振動が減退し、分子間の結合が強固になり、やがて鍵穴に流し込んだ水は鍵の形の――となった。
 氷の鍵を時計回りに回すと、いとも容易く開錠された。
「これが、イマジネーションか」
 アスカは《user》として1つのステップを飛び越えたことを実感した。
 だが、そんな窮地におけるささやかな喜びも、カニュールグの中味を見て、一瞬で吹き飛んだ。
 瞬間的に吐き気を覚え、そのまま大して入ってもいなかった胃の中をカラッポにした。

 そこにあったのは、群れ――捧げられた幾億もの、脳だ。

 単純な、ごくごく簡単な話だ。
 誰もが思いつく。最も身近な有機コンピュータをそのまま使ってしまえばいい、と。
 問題はその一線を踏み越えるか否かだ。
 その一線を、何とも思わない、人間は思いのほか多い。それは科学という名の業。
 しかし、その踏み越えた先にある一線の、更にその奥にある何かを、確実に飛び越えている――そんな所業だった。
「クソ……」
 今すぐ全てをぶち壊してしまいたい。
 憤怒と哀惜を押さえつけ、心を冷やす。
 塔の中を見下ろし、見上げる。脳をメインとしてもその情報をアウトプットする何かが、きっとここにある筈だ。
 そして、見つける。いや、見つけてしまった。
 そこからさらに10メートル程上の、殆ど頂点に位置する、そこだ。脳に埋もれるように、確かにそれはある。
 氷で台座を造る。上方向に氷を成長させながら上昇させていく。1度氷への変化を体感したせいで、仕組みがわかった。ミクロ領域における特に精密な操作が必要な部分、あまり厳密さが求められない場面、原子間力の方向付け――やるべき事が、つまり力の抜きどころ/入れどころが、意識を先鋭化すべき部分が理解出来た。理解出来たことはあまり意識せずとも、それ自体が1個のシステムであるかのように処理が出来るようになる。高度化し、仕組みとして解体された『慣れ』をいち早く行う。これも訓練の賜物だ。
 ――最早、『氷』への変化は殆ど完全にアスカの手の内だ。
 頂上付近の踊り場のような場所まで到達するの合わせ、氷を溶かし左腕に集束させる。氷の方が体積が大きい分、すぐに量が確保できる。
 その光景を見て、やはり、アスカは吐いた。
 同時に当惑する。
 意味が分からないのだ。
 脳が繋いであるのは、したくもないが理解は出来る。だが、これは何だというのか。
「あ……あ、う…」
 それは、短く泣くように声を上げた。
 それは、それだけは、脳だけでなく、口も、目も、耳も、鼻も、髪もある、手も胴も足も腕も脚も胸もない――顔だった。
 首から上だけの顔だった。
 黒い目隠しをされた顔が野ざらしになって、脳に囲まれていた。首が固定されている台から必要な栄養や酸素が供給されているのだろう。脳だらけの中にあって、明らかな違和感。
 ――だが、違う。
 この程度は分かる。
 アスカは分かってしまう。これが端末なのだ・・・・・・・・
 AIを創造するよりも、最低限の機能を残したヒトを繋いでしまえばいい。ただ、それだけの、それだけの発想だ。さしずめ、有機コンピュータ=集合脳とヒトの仲立ちをする、それらの中間存在。
 これは分かった。アスカの優秀な頭脳はそこまでは理解した。

 本当に分からないのは、この顔が――伊吹マヤ・・・・だということだ。

 黒い目隠しを外す。どの程度ヒトとしての意識が残っているかは分からないが、外すのがおそろしいが、それでも、アスカは外した。
「あ、す、か……ちゃん?」
「マ、ヤ」
 名前を呟くことしかできなかった。
 憐れだとかつらいだとか、そんな感情を越えていた。何か分からない得体の知れないものが胸を犯した。
 だから平凡な言葉しか出てこない。
「あんた、一体……」
「あ、あ、あたし、は、あた、しが、伊吹マヤ、なの」
 何を――と、思ったのは一瞬だった。
 この幾億ものしきつめられた脳。明らかにクローンのための成育カプセルの群れ。
 そうなのだ、全ての脳がマヤのクローンで、
「貴女が、本物の――」
「違うわよ」
 頭上に響く声。
 塔の頂上が開く。その奥に、伊吹マヤの、棘のような針のような鋲のような粘つく笑み。
 気づく。
 あんな不便な位置にドアがあるのは確かにおかしい。あれは非常用のドア。本来の出入り口は頂上に。そう、単に上に部屋があったのだ。
「バカねぇ、下手に自我を残したものだから、下らない妄想を……」
「……アンタ、何しようっていうの」
 それはアスカがここで、空中浮遊城塞基地=シュピエドで、見た全てに対する問いだった。

 

 

 

 

 

+++++++++++++++++

 

 

To Be Continued to Episode 29.

Next, she wants to disturb all.
In addition, Shinji with swordedge of EVA vs Saga with power of Odin.

 

 

+++++++++++++++++

 

 

 

 

 


<後を書く>
割と有り勝ちな展開の連続だとは思うが、有り勝ちってのは完成されてるから有り勝ちだと思うわけ。
い、言い訳ちゃうわ!
今回ちょっと長くなりすぎたので次はもうちょっと圧縮。
単に推敲あんまりしてないから容量でかいだけといえば、だけなんだけどもね。
で、そろそろ「気高き魂を」もクライマックスだとか、そうじゃないとか。
……しかし、流石に4つも5つも場面を同時展開はムリだと気づくべきだったよね、俺は。


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